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漕ぎ力計測ホイールシステム

ホイール外観
漕ぎ力計測システムとは、アスリートの車いすレーサーを漕ぐ力を数値化、可視化することで客観的な分析をサポートするツールです。
車いすレーサーのホイールに装着して走行することで、漕ぐ力のかかり方の左右差や、加速・減速要素、最高速度の出るタイミングなど、走行に影響を与えるあらゆる情報を数値化し、これまで感覚的に捉えがちだったアスリートのフォームの特徴を数値に置き換え、客観的データに基づいた分析が可能となります。
また、複数の異なる車いすレーサーによる測定値の比較や、過去からの改善状況などもデータ上で容易に確認できるようにすることで、より効率的なトレーニングの一助となることを目指しています。
走行シーン

漕ぎ力計測システム 分解イメージ図

技術イラスト左

漕ぎ力計測システムによる計測レポートの一例

技術イラスト右

開発者の思い

池内 康

株式会社本田技術研究所
先端技術研究所
知能化・安全研究ドメイン
チーフエンジニア

池内 康
開発の背景、きっかけ

私たちは「人の動きを測ることで、運動のパフォーマンスを高めたい」という思いから、このシステムの開発を始めました。歩行の研究を通じて、歩くときに地面から受ける力(床反力)がとても重要だということがわかっていて、この知見を車いす陸上競技に応用できないかと考えたのがきっかけです。
車いすレーサーを漕ぐ(前進する)ためにハンドリムに力を加える「漕ぎ力」を測定することで、選手のパフォーマンス向上に寄与できるのではないかと思い、開発に取り組みました。

漕ぎ力計測ホイールシステムのメリット

ハンドリムへの接触時間は高速時で0.15秒にも満たず、見た目や感覚だけでは力の詳細を把握するのは困難です。
このシステムでは、0.0025秒ごとに力の大きさ・向き・位置を測定できるため、勘や経験に頼っていたトレーニングを、データに基づいた科学的な方法へと進化させることが可能です。
選手は自分のこぎ方を客観的に理解でき、コーチはより的確な指導ができるようになります。人の感覚では捉えられない一瞬を、科学の力で“見える化”するシステムです。

データから読み取れること

このシステムでは、漕ぎ力の強さや向きが正確にわかるため、加速や減速の要因を見分けたり、グローブやフォーム、シートクッションよる高さの違いが漕ぎ方にどう影響するかを分析できます。これまで感覚で判断していた部分を、データで確認できるようになるのが大きな特長です。
半年に1回ほど定期的に使うことで、感覚と実際の力の動き(物理現象)を結びつけ、より質の高いトレーニングにつなげることが期待できます。

使用者の声(山本行文選手)

今回で5回目の計測を行った山本行文選手に、
漕ぎ力計測機器についてお話をうかがいました。
※2025年6月にお聞きした内容です。
※山本選手の感想であり、効果を保証するものではありません。

山本 行文選手

山本 行文
計測をしてわかったこと、気づいたことはありますか?

前回計測して得た結果をトレーニングに反映し、修正をしてきたつもりでしたが、左右差がまだありました。特に左ひじが上がってないことでコンタクトできていませんでした。また利き手の右手についても、まだ押し切れておらず、余力があることがわかりました。

この計測機器をどのように活用していますか?

データで示してくれることで、自身の漕ぎ方に関する考え方を確信につなげることができます。自分の場合は、理想のフォームが頭の中にあり、データ結果を見て方向性が間違っていないことの確認をし、足りないところはイメージと併せて改善しています。

漕ぎ力計測機器のメリットはなんでしょうか?

最大のメリットは、自身のレーサーとハンドリムを使って計測できることではないでしょうか。選手はハンドリムの径や太さ、材質など、グローブとの相性をこだわって決めているので、レースと同様のツールで計測ができることは、より実態に近い数値がでていると考えられます。
また、実際のレースと同様に、トラックで計測できるという意味で、実環境に近い条件で計測ができます。
他には、指導者の立場から見ても、教え子にデータを示すことで説得力につながるのではないかと考えます。

計測ホイールが重いことで(両輪で9.2kg)、実走との違いは感じますか?

それはあると思いますが、重さは初速などに影響はあるもののピーク時の計測には影響しないためデメリットとは感じてはいません。普段使用しているホイールと同じような感覚になるのは20〜21㎞/hぐらいの時です。

レンタルについて

・レンタル代金をお支払いいただき、ご希望の日数、機器のお貸出しをします。1日単位でのお貸出しが可能です。

・代金

  • ①日額22,500円(使用料+保険料込み) ※保険には火災/風災/水災/破損を含みます(故意による破損や誤った使用方法による破損は補償対象外です)
    日額のレンタル費用は希望利用開始日から返却発送日の前日までの日数分をご負担いただきます。
  • ②保管場所(埼玉県)を起点に、輸送費全額をご負担いただきます
  • ③海外での使用の場合、1回の貸出に対して輸送保険10万円を上乗せします

・お貸出しフロー

  • ①お申込みおよびレンタルの日程・金額決定
  • ②契約書送付
  • ③契約締結 ※契約締結後の貸出延長はできません。
  • ④事前入金
  • ⑤機器発送
  • ⑥お客様のもとで使用
  • ⑦返却発送

・詳しくはお申し込みページへ

※漕ぎ力計測ホイールがお持ちのレーサーに適合するか、お申込みの事前に確認するためのツール(干渉チェッカー)をご用意しております。
racer@honda-sun.co.jp までお気軽にお問い合わせください。
Hondaからの発送費用はHonda負担、返却いただく費用のみご負担をお願いしております。

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